妄想と現実のはざま

私の黒歴史な日記置き場

クマヒャックの冒険

妻と私が互いにくまと呼びあっているのは先に述べた。
「くまさん」は時とて幼児語化し、
「くましゃん」
とか
「くまひゃん」
になる。
最近はそれがエスカレート。妻は私を
「くましゃ」
と呼んだりする。
「『くましゃ』ってなんか、かわいいなあ。じゃあ、やすよっくまは、『くまひゃ』やな」
「いや、それならむしろ響きとしては『クマヒャック』じゃない?」


そんな会話から、われわれ夫婦の新しいキャラクター「クマヒャック」が生まれた。
なんだか「クマヒャックの冒険」とかいうシリーズがありそうな冒険活劇的ネーミングだ。


クマさらいのアジトからなんとか脱出した、クマヒャックとおじさんに追っ手が迫る。
銃声が響き、倒れるおじさん。
あわてて駆け寄ったクマヒャックにおじさんは言う。
「俺はもうだめだ。ここは俺が食い止めるからお前は逃げろ」
「だめだよおじさん。おじさんをおいていけないよー」
「馬鹿野郎。お前までここで殺されたら、誰が残されたクマたちを助けるんだよ!」
なんやかんやと、べたなやりとりをふまえて、泣きながらクマヒャックは駆け出す。
”Run,Kumahyakku!! Ruuuuuuun!!”
(走れ、クマヒャック!、走るんだー)
なぜか英語で叫ぶおじさん。響く銃声。そして爆発音。


夫婦の間で、そんな「ラン、クマヒャック!ラーン!!」ごっこがはやった。
おじさんの英語を、野太い声でひたすら叫んで、カタルシスを得るのだ。


そんなことをにやにやしながら日記に書いていたら、妻に「クマヒャック」の由来はそうではないと主張された。
「じょーっくまが、ひゃっく、ひゃっくって、しゃっくりをしてたから、『クマヒャック』になったんやで」
「えー、違うよう。『くまひゃん』が『クマヒャック』になったんだよう」


そんな生産性のない会話で日々がすぎていく・・・。
仮に僕の人生が物語なら、近いうちに戦争でも起きそうな、不幸の前振りにふさわしい日常。